生活人コラム



 INO.VOL.10 空気清浄機の進化【井上 透】--2002.9.2

 [執筆者]
 井上 透
 [紹 介]
 ブリヂストン健康管理センター勤務の産業医。大学講師。医学博士。
 企業の健康管理センタ−に所属して、社員の肉体的および精神的な方面まで含めた総合的な健康管理の仕事をされています。




 6-7年前より職場喫煙対策の一環として空気清浄機の調査・設置を推進していました。その関係で空気清浄機の進化に注目していましたので簡単にまとめて紹介します。


 従来からの空気清浄機は機械の中で空気を一時的にマイナスイオン化してフィルターで捕捉除去する方式が一般的でした。タバコ煙に含まれる粒子成分は除去できてもガス成分の除去は不十分でした。また空気清浄も機器内に留まり、部屋全体の空気清浄化には限界がありました。さらにはイオン化した時に有害なオゾンが高濃度に発生するという欠点もありました。


 2-3年前に「SHARP」の出した除菌イオンの空気浄化システムは世界初のとても画期的な原理を駆使しています。プラズマ放電で空中の水蒸気から人工的にH+、O2-、を分解発生させます。その各イオンを水分子が取り囲んだままで、部屋の隅々に放散させます。

 室内の汚染物質の中で特に問題となるのが「浮遊カビ菌」で、これは喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の悪化因子の一つです。この浮遊カビ菌の表面にH+、O2-が接着・凝集して水酸基ラジカル(OH)に変化します。水酸基ラジカル(OH)はカビ細胞壁から水素原子を抜き取り、カビ菌を破壊し不活化させてしまいます。1時間の稼動で90%の浮遊カビ菌の減少が実験で確認されています。

 水酸基ラジカル(OH)は水素と結びついて無害の水(H2O)になって空気中に戻ります。除去分解後も有害物質を発生させないし、環境保全の面でも優れています。オゾンの発生も0.01ppm以下で基準値をはるかに下回る安全性です。(日本産業衛生学会での許容基準値は0.1ppm以下と規定しています。)

 同様の機序で、アンモニア臭、生ゴミやおならのメタンガス、タバコ臭(アンモニア、酢酸、アセトアルデヒド)の分解作用もあります。一酸化窒素(NO)やホルムアルデヒドも分解します。一酸化炭素の分解は無理ですが、このように一部ガス成分の分解除去も可能なようです。

 芳香剤のような他の臭いで悪臭をごまかすのではなくて、臭いの元を分解します。+−の両イオンバランス量を調整して、森林の空気や滝周辺の空気を生み出すことができます。お部屋で擬似森林浴ができるのです。この科学技術力の進歩に感服しました。 この技術が現在特許申請中だそうです。原理としても納得できる本物の空気清浄機だと思います。

 この浄化システムはエアコン・空気清浄機だけに留まらず、SHARPの除湿機、加湿器、ファンヒーター、掃除機、冷蔵庫にも導入されています。最近、洗濯機の浴槽についたカビが衣服についてアトピー性皮膚炎の原因になっているというのが話題になっていますが、このエアコンで衣類を乾燥すれば良いかもしれません。部屋の真菌を排除して水虫の予防にもなるかもしれません。


 電気屋さんで他メーカーのエアコンと比べてみましたがお値段も同等です。他メーカー製品のどれにもマイナスイオンという宣伝文句が表示してあります。例えばTOSHIBAの空気清浄機は清浄機能では一番優れていて、これにもマイナスイオンのプラズマ集塵・脱臭機能がついていると説明されていますが、プラスイオンは出せませんし、上記のようなカビ菌の不活化システムは持ち合わせていません。

 当然オゾンの発生量はSHARP製品よりも多いと推測します。この違いがわかっている人はどれだけいるのでしょうか?詳しく知りたい方は、お店のカタログか、インターネットのホームページ[http://www.sharp.co.jp/clusterion/index.html]をご参考ください。

 快適・健康空間を維持し、気持ち良く生活するためにもこのようなこだわりも良いのではないでしょうか。健康機具にはあまりのめり込まない私でも惹かれるものがあります。自宅のエアコンがそろそろ寿命なので、次はこれに買い換えようかなとも思っています。「SHARP」からは何もお礼はもらっていませんので、念押ししておきます。


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