経済人コラム



 STO.VOL.1 急速に進む日本の高齢化と資産運用の場としての証券市場

 [執筆者]
 天 眼(執筆者都合によりペンネームです)
 [紹 介]
 東証一部上場の中堅証券会社勤務。1954年生まれ。日本証券アナリスト協会検定アナリスト。ファイナンシャルプランナー協会認定 AFP。
 企業の調査や評価分析を専門に仕事をしておられ、専門紙へのレポートも多数あります。



 NO.1 株式投資は善か悪か 96.6.5

 経済人コラムの第一回目の内容として、一般的な日本人、特に株式投資をしない、興味を持たない人の深層に根ざす「株式投資は悪」という観念に絡み、「株式投資は善か悪か」について、個人的な見解を述べてみたいと思います。

 日本の経済を根本から支えているものは何でしょうか。
 それは株式会社です。株式会社が存続し、活動していくためには、資本金が必要なのは言うまでもないことです。そして、会社が成長し大きくなるにしたがって、必要な活動資金が増加していくのも自明のことです。

 ではその活動資金はどこから調達するのか。
 銀行からの借り入れ、社債の発行、株式の発行などいろいろあるでしょう。
 しかし、借り入れについても、社債の発行にしても、元金とともに金利を返済する義務が生じ、金額が大きくなれば金利負担も大変なものになります。
 一方、株式を発行し、投資家から調達した資金には基本的に資金の返済義務も金利も発生せず、株式会社にとっては最も有利な資金調達の方法なのです。そして、投資家と株式会社の橋渡しをするのが、資本市場(株式市場)であることもご存じのことと思います。

 さて、「株式投資は悪」という発想はどこから生じるのでしょうか。
 おそらくそこには、株式投資は競馬や競輪といったギャンブルと同類、という感覚があるのだと思います。また、日本人の心情として、「不労所得も悪だ」と決めつけているところもあるようです。
 個人にしても企業にしても、バブル期の株式投資で失敗し、もう株式投資はこりごりということも良く聞きます。そこにはやはり、「株式投資は悪」という心理が見え隠れしています。
 しかし、ちょっと考えみてください。失敗の原因はどこにあったのでしょうか。失敗の原因はいろいろあるでしょうが、一言でいえば株式投資の基本が間違っていたのです。株式投資はギャンブルではありません。投資尺度さえ守っていれば、失敗はないのです。
 また、株式投資をして得た利益は不労所得でしょうか。「いいえ」とはっきり断言できます。株式投資はりっぱな経済活動と言えます。株式市場がなくなれば、世界経済を成立させている資本主義が成り立ちません。
 年金資金や保険会社の運用もできなくなるでしょう。

 以上長々と分かり切ったことをのべましたが、結論としては、株式投資は善でもなく悪でもなく、「株式投資はりっぱな経済活動」だと言うことができます。ですから、株式投資をしていることに対して、後ろめたい気持ちを抱いたり、嫌悪感を持ったりするのは、間違っていると思います。

 今後、日本はますます高齢化社会を迎えます。
 年金さえ満足に受け取れない時代がやってくると懸念しています。政府も頼りには出来ません。自分の老後の生活は自分で守るしかなくなるのです。今の低金利では預金は増えません。
 ますます株式投資の重要性が増しているのです。
 私は証券アナリストとして活動していますので、株式投資がうまくいっていない方、これから株式投資を始めようとしている方々に、ご希望があれば、株式投資の基本的な知識や役に立つ経済情報を提供する場を設けたいと思っています。

 ご希望の方は、電子メールにて「共感工房」宛、ご一報ください。

バックNOもくじへ//最前線クラブへ戻る//トップページへ戻る

 NO.2 社会保険制度の破綻 96.7.8

 今回は、タイトルからお分かりのように、相互扶助という一見公平のようで、よくよく考えてみるとこんなに不公平な制度はないと思われる「社会保険制度」の破綻についてです。

 社会保険の主なものに「健康保険」と「公的年金」があります。
 先日発表された日本の出生率は、一時回復の傾向があったものの、再び史上最低を記録しました。
 これを聞いて誰でも、将来自分は年金が受け取れるのだろうかという不安に駆られるでしょう。

 これは私の個人的な見解ですが、今のままでは、健康保険、公的年金のいずれも破綻するでしょう。
 健康保険は、すでに老人保健拠出金で数年前から赤字に陥っている組合が多くなっています。私の属する証券業健康保険組合も数十億円の赤字に陥っています。
 厚生年金は、ずさんな運営で破綻に陥ったJR共済、JT共済、NTT共済の救済のために来年度に統合されようとしています。ただでさえサラリーマンの負担率が増えているのに、さらに他人の借金の肩代わりをさせようとしているのです。
 いずれにしろ、労働人口が減り老人が増えるという図式が加速する現実を直視すれば、どちらの制度も破綻するのは時間の問題といえます。

 サラリーマンの所得が右肩上がりで増えるという時代も終焉しました。
 その上負担が増えるのですから、可処分所得は確実に減ってきます。
 すでに消費は減り、経済も停滞する悪循環の状態に突入したといえるのです。

 そんな中でサラリーマンが所得を増やす手っ取り早い方法は証券運用しかないのです。
 ご存じのように金利は経済状態で変化し、現在、史上最低の水準です。
 しかし、多くの日本人の金融資産は預金や貯金で、昨年からの株式市場の上昇相場の恩恵を得られなかったと思います。預金や貯金は資産運用とは言いません。元金は減りませんが、今の金利では増えもしません。
 そして生活費が不足したら、預金を取り崩して使うので、結果的に金融資産は減るのです。
 日本はそういう時代に突入したのです。

 誰も口に出して言いませんが、私は、今の日本は老人天国、サラリーマン地獄の状態だと思います。年金は掛け金に対し大幅な受け取り超、医療費はほとんど無料で病院は老人に占領されています。
 サラリーマンはいずれ自分たちもと歯をくいしばって働いているのに、将来、政府は社会保険制度に大きなメスを加えなければならなくなるでしょう。
 政府を信用しては行けません。
 その時に備えて、自分で何らかの対策を立てておく必要があると思います。

バックNOもくじへ//最前線クラブへ戻る//トップページへ戻る

 NO.3 株式投資クラブについて 96.8.5

 前回のコラムで社会保険制度の破綻についてお話しましたが、先日の日経新聞の株式面の大機・小機で、ある執筆者が年金について記述していました。みんな同じ考えのようです。

 それによれば、大卒男子の初任給が平均で19万4千円に対し、厚生年金の平均受給額が21万円と、働いている者よりリタイヤした者のほうが金銭的に恵まれていて、働く意欲を損なうような社会システムは改めなければならないという趣旨でした。
 教育費や住宅ローンなどで苦しんでいる年代にとっては、社会保険料の負担はさらに厳しいものです。

 さて本題に入りますが、先日、大蔵省から「株式投資クラブ」のガイドラインが提示されました。
 かねてより証券業協会が要望していたもので、お墨付が得られた訳です。これでやっと米国と同じように、仲間同士で資金を出し合って株式投資が共同でできるようになったのです。

 ガイドラインの概要は以下のような内容です。

 1. 株式投資クラブは組合方式であること。
 2. 組織は20名以内であること。
 3. メンバーは継続的に交友関係にある者。
 4. 一月に一回以上会合を持ち、投資方針について検討すること。
 5. 特定の者に投資を一任しないこと。
 6. 資産管理を行う責任者を置くこと。
 7. 運営に関してメンバーに報酬を支払わないこと。
   etc。

 趣旨は気のあった仲間同士で、株式投資を楽しみましょうといったことのようです。
 今話題の悪名高い「KKC」のような、見知らぬ者に悪用されることのないように、ガイドラインが示されています。

 冒頭のような年金制度の現状から、いずれ公的年金の支給額が減額される日が来ると思います。
 これから、10年、20年後に受け取る人たちにとってはふんだりけったりです。
 その時に備えて、我々は自助努力する必要があるといえます。現在の金利では、預金していてもお金は増えません。
 今まで株式投資の経験がない人たちは、これを機会に投資経験のある人たちと一緒に株式投資クラブで経験を積み、自信が出来たら個人的に株式投資をするようになれば失敗が少ないと思います。

バックNOもくじへ//最前線クラブへ戻る//トップページへ戻る

 NO.4 最終回 96.11.5

 97年4月から消費税が3%から5%に引き上げられる予定です。
 一年定期の預金金利は0.5%弱、税金20%を差し引くと約0.4%といったところ。一回買い物すると、預金金利10年分以上の消費税が余分に取られるのです。

 厚生年金保険料はすでに10月から引き上げられています。

 さらに、介護保険が導入されようとしています。

 サラリーマンの負担は年々ふえていきます。
 しかし、高度成長が終了した現在、給与はほとんど上がらず、生活は苦しくなるばかりです。このため生活防衛の見地から消費抑制が起こり、来年度前半は確実に経済が落ち込みます。
 病み上がりと言ってもよい経済状態の中での消費税の引き上げは、あまりにもタイミングが悪すぎるとしか言いようがありません。

 大蔵省、政治家はまた、経済の舵取りに失敗しようとしています。
 政治に対する不信感は頂点に達しているのです。

 国民としては、政府など信用せず自己防衛に徹する必要があります。
 幸い、日本の株式市場は世界第2位の規模です。
 預金していても目減りするだけで、増えません。換金が容易で資産を増やす方法としては、株式投資しかないのです。
 しかし、現実は個人金融資産が1千兆円といわれている中、株式市場ではバブル時代の失敗に懲りて、個人投資家の売買が減少している状態です。

 昔は株式投資をすると一夜乞食になると言われていて、国民性からか個人投資家が育たない土壌があるのです。
 株式投資は決して怖いものではありません。
 事前にしっかりと勉強をした上で、ファンダメンタルズに基づいた投資をすれば、損をすることは少ないのです。証券会社の社員の推奨を鵜呑みにしたり、仕手材料株や値動きだけに目を奪われて投機に走れば、きっと失敗します。

 年間10%程度の利回りを得るのは決して難しいことではありません。
 どんな銘柄でも年間1割程度の変動はしています。タイミングや銘柄さえ間違えなければ、預金金利以上の利益を得られるのです。

 さあ、みなさん株式投資を始めてみませんか。

バックNOもくじへ//最前線クラブへ戻る//トップページへ戻る