好奇心コラム



 STO.VOL.2 日本の構造

 [執筆者]
 天 眼(執筆者都合によりペンネームです)
 [紹 介]
 東証一部上場の中堅証券会社勤務。1954年生まれ。日本証券アナリスト協会検定アナリスト。ファイナンシャルプランナー協会認定 AFP。
 企業の調査や評価分析を専門に仕事をしておられ、専門紙へのレポートも多数あります。



 NO.1 日本の構造 その1 96.9.1

 今回は一市民として、日本の民主主義と三権分立というテーマで個人的な見解を述べてみたいと思います。

 私たちは小学校の時から、日本は民主主義の国で、政治、行政、司法がそれぞれ独立している三権分立の国だと社会科で教えられてきました。
 しかし、現実はどうでしょうか。
 まず、民主主義という言葉を辞書で調べると、政治の上で国民の意志を尊重する主義、とあります。戦後50年が経ちましたが、国民の意志が政治に反映しているといえるでしょうか。私はノーと言わざるを得ません。

 政治家は常に国民を欺いてきました。これについては例をあげる必要もなく、国民は皆そう考えていると思います。
 行政はどうでしょうか。国の行政、地方の行政とも民意を反映しているどころか、民意とはかけ離れた行政が行われているのではないでしょうか。
 司法はどうでしょうか。国や行政側を被告とした裁判では、訴えた側の国民や市民はほとんどが敗訴しているのが現実であります。
 国民の、政治、行政、司法に対する不信感は今や頂点に達しているのではないでしょうか。

 私は、この諸悪の根源は官僚制度にあると考えています。官僚になる条件は東大卒で、かつ公務員上級職試験に優秀な成績で合格することです。
 ここに問題があるのです。
 人間性は条件ではないのです。彼らはエリート意識の固まりです。ですから失敗という事を非常に恐れています。
 例えば、今回のエイズ問題にしても、厚生省は未だに事実を隠そうとしています。当時の関係者は判断を誤ったのですが、失敗という事実が明らかになると権威が失墜するので、厚生省ぐるみで関係書類を隠蔽していたのです。

 また、歴代の厚生大臣の無責任ぶりにもあきれるばかりです。
 官僚は新任の大臣が就任すると、まず、何もしないで下さいというそうです。そこには政治と行政の癒着があるといわざるを得ません。
 大臣がやるべきことをやらないので、行政が暴走してしまうのです。

 一方、司法はどうか。国や県といった行政側を被告とした裁判では、すべてではありませんがほとんどの場合原告側は敗訴しています。なぜか。
 裁判官が下す判決の根底には、公益優先、経済優先という政治家や行政側と同じ感覚しかないからです。裁判官の潜在意識の中にはあるいは政治や行政に逆らえないという恐れの感覚があるのかも知れません。
 そこには、被害者や弱者の苦しみ、悲しみを理解しようとする姿勢は窺えない。裁判でも救済されない被害者は、泣き寝入りするしかない。これが、今の日本の現状です。裁判官の多くも東大卒のエリート?と呼ばれている人々です。

 最後に、ある日本人が「日本政府を信用するな」といったことばが現実なのです。

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 NO.2 日本の構造 その2 96.10.2

 前回、現在の官僚制度は諸悪の根源という趣旨の意見を述べましたが、やはり官僚に普通の人の常識という発想はなかったようです。
 血友病患者を中心に数千人のエイズ感染者と400人以上のエイズによる死者を出し、官民癒着が問題となっているさなかに、平然と医薬品業界の団体に天下りする感覚はどう考えても普通とは言えません。

 私は、今回のエイズ問題について、関係者に対してはより重大な罪状を適用すべきだと考えています。
 いろいろと報道されたことを総合してみると、影響力のあった当事者や関係企業および監督官庁の管理責任者は、非加熱製剤の使用によるエイズの感染の危険性を知っていたと考えるのが自然です。当時の彼らの発言や証拠書類からは、どうしてそうなったかはわかりませんが、結果としてメーカーの利益のために人命を軽視、感染を放置したのは明らかでしょう。
 日本という国は、先進国を自負しているにもかかわらず、いまだに弱者が泣き寝入りをする構図が存在しているのです。

 裁判所も頼りになりません。
 いろいろな裁判の判決でも、国や行政寄り、また犯罪者に甘い判決が多い気がします。外国の裁判では、死刑が廃止になった国でも、同じ内容の犯罪ならば、日本より相当重い刑が科せられています。
 だから今回のエイズ事件は業務上過失致死で済まされる問題ではないような気がします。きちんと責任をとってもらうべきなのです。

 また、住専処理に関しても同じです。大蔵省の役人が住専各社や銀行の社長や頭取、取締役として天下りして、ずさんな経営の末に破綻を招いたにも関わらず、何の責任もとっていないのが現状です。
 そのツケを国民に回すなどということは言語道断であります。彼らは在職中に高額の報酬を得ています。法律で裁き、経営責任をとってもらう必要があります。

 さらに、国、地方公共団体の出鱈目ぶりには呆れるばかりであります。
 カラ出張、カラ残業、カラ手当、挙げ句の果ては公開文書の偽造まで行っています。業務上横領、公文書偽造でこれは明らかに犯罪です。今後市民オンブズマンの手によって告発されると思います。

 公社公団は天下り役人の天国です。在任中はたいした仕事もせず高額の報酬を受け取り、2〜3年後の退職時には数千万円の退職金を得て、次の天下り先へと渡り鳥です。
 その高額の報酬や退職金の元はと言えば国民の税金なのです。
 日本は役人天国です。役人は本来、国民や住民に奉仕する立場なのに、日本では立場が逆転してしまっているのが現状です。

 10月からは厚生年金保険料の引き上げがあります。今後、労働者の負担は増えることがあっても、減ることはありません。
 賃金の伸びがないなか、可処分所得はどんどん減っていきます。
 いずれサラリーマンの生活は破綻し、サマリーマン一揆が起きても満更おかしくはない状況と思います。

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